活動日記  

県・県教育委員会・ならチャレンジドの恊働事業「地域社会で生きる!」特別支援生徒の社会参加および就労支援

活動日誌 2012年 11月

2012年12月1〜2日

第64回全国人権・同和教育研究大会

岡山県倉敷市

【活動報告】:NPO法人ならチャレンジド
       「地域社会で生きる!特別支援学校生徒の社会参加および就労支援」



「人権確立をめざす人づくり・組織づくり」分散会において活動報告を行いました。
大阪、兵庫、三重等の特別支援学校教師、保護者等から質問や共感の感想が寄せられました。また、奈良県人権教育推進協議会事務局から「特別支援学校生徒が受付係に立つようになって、受付の職員も来場者も笑顔になり、会場の雰囲気がやさしくなってきました。相乗効果です。特別なことではなく、当たり前のこととして今後も続けていきたい。」と受け入れられた側からの感想が述べられました。
各地それぞれの状況が違っても、困難な中でつながろうと奮闘する全国の方々とふれあい、勇気と元気をいただきました。

NPO法人ならチャレンジド

【活動報告】

地域社会で生きる! 特別支援学校生徒の社会参加および就労支援

NPO法人ならチャレンジド 

はじめに

当法人は2010年2月1日設立、わずか2年10カ月の活動です。 特別支援学校生徒は、個性豊かに社会の主役として生きていく力があります。行政・学校・事業所・PTA・NPOが連携して
「今、できること」を発見し、特別支援学校生徒を支援するネットワークを構築していくことが課題です。特別支援学校生徒(卒業生含む)と共に生きる関係の中で、共に豊かに生きていく=誰もが幸せになっていくことだと思います。
奈良県・奈良県教育委員会・ならチャレンジドは、16団体で協働して「地域社会で生きる!特別支援学校生徒の社会参加および就労支援事業」を2011~12年度2カ年にわたり取り組んでいます。
【16団体】 奈良県・奈良県教育委員会・NPO法人ならチャレンジド・大淀町・大淀町教育委員会・株式会社南都銀行・奈良県農業協同組合・奈良交通株式会社・積水化学グループ立積住備工業株式会社・株式会社ソルノリーブス・春日大社・薬師寺・大神神社・NPO法人きららの木・奈良県立高等養護学校PTA・奈良県立奈良東養護学校PTA

1.地域社会でつながる!
昨年7月、差別をなくす強調月間・市町村民集会(27市町村,生徒50名の参加)受付係を取り組みました。本年は25市町村、生徒42名の参加。学校から地域へ生徒が組織的に参加するのが初めてであり、学校・市町村とも不安や戸惑いをもちながらのスタートでした。
笑顔で楽しく参加する生徒たち自身が、大人たちの不安を吹き飛ばし、学校・市町村で盛り上がりを見せました。
(1)地域の〝熱い〟方たちとともに!
「特別支援学校生徒をよく知らないけれど、同じ市民として歓迎するよ」「知識ではないよ、こころだよ!」と市町村職員は、あたたかく歓迎してくださいました。
(2)学校は違っても、生徒は地域でつながっている!
障がい種別で通学している学校は違っても、生徒は顔見知りであり、地域でつながっていることを再認識しました。集会への参加が「小さな同窓会」となりました。
(3)生徒は地域で支えられている!
市町村職員さんは生徒のみならず家族構成まで知っています。学校という枠では出会えない人たち(保育所、小中学校の恩師、地域の住民等)との再会もあり、特別支援学校卒業後のライフスタイルはやはり地域にあることを教えられました。
◎県市町村の主体的な取り組みへ
奈良県教育委員会人権・地域教育課および橿原市・宇陀市・五條市・大淀町等から、当法人へ生徒の受付や司会の社会参加依頼がされるようになりました。現在、奈良県人権教育推進協議会研究大会、奈良県主催の音楽祭等大きな行事での受付係が実現しています。生徒が参加するなかで、行事がやさしい雰囲気に包まれて、人がふれあう機会が増えています。

2.職場実習の開拓にあたり
生徒は就労する意欲があり、力がありながらも、就労できる場所が限定的という現実があります。本人はもとより、社会にとっても不幸なことです。
就労への第一歩は職場実習から始まります。私たちNPOは、職場実習先の新規開拓に取り組でいます。一昨年、南都銀行・JAならけん・奈良交通・春日大社・薬師寺・大神神社等の県内代表的事業所27か所は初めて実習を受け入れてくださいました。昨年は、17か所。
【実習から学ぶ】
実習をとおして事業所から3点の教訓を学びました。
(1)小さな作業を集めて、仕事をつくりだす
(2)人とのふれあいを最優先にする
(3)信頼関係で人は成長する
人と目を合すのが苦手だった生徒が奈良交通(株)の実習後、人の目を見て挨拶をするようになり、学校関係者もあたたかく見守っています。同じく、大神神社で実習した生徒も「もっと実習を長くしたかった」と話してくれました。生徒たちが、わずか数日間の実習で成長する。ここにこそ、職場実習の神髄が秘められています。生徒たちは実習先で自分を出し、受け入れられた安心感の中で自信をつかんでいったようです。
役所、保育所、図書館、大学、病院、老人保健施設、銀行、鉄道、喫茶・飲食店、ホテル、公園等多くの領域で職場実習が拡がっています。昨年度、河合町立図書館、私立桜井学園(保育園)では実習から就労へとつながりました。しかし、就労へつながるケースはまだまだです。

3.キラリと輝く! 特別支援学校アート展
◎開催:2012年8月5日~14日    ◎場所:奈良県立美術館 
◎主催:奈良県特別支援学校長会・NPO法人ならチャレンジド  ◎後援:奈良県
奈良県立特別支援学校の在校生および卒業生のキラリと輝く作品の数々が学校だけではもったいない!多くの県民に見てほしいとの思いから、奈良県立美術館の全面的な協力のもと今回のアート展がスタートしました。学校とNPOが主催する初めての協働事業です。
奈良県立特別支援学校(10校)の理解と力強い協力のもと、この行事に向い、手を取り合って先生方の生徒に対する熱意の中、1歩ずつ進んでいきました。全児童生徒1512人の作品がパネルという形で参加!出展!キラリと輝く作品も出展!アート展を通じて開花させていく作家さん(生徒)たちの才能を直に2000名を超える県民はもとより、全国そして海外からの来場者にふれあっていただきました。大きな感動を呼びました。
アート展は、生徒たちの才能を発信できる新たな場となりました。今後、継続・発展させていくことが大きな課題です。

*ありとあらゆる領域において、生徒たちが主役として活躍できる機会の創出をめざします。