活動日記  

県・県教育委員会・ならチャレンジドの恊働事業「地域社会で生きる!」特別支援生徒の社会参加および就労支援

活動日誌 2018年 5月

2018年5月11日

第56回日本小児歯科学会大会・活動報告

●2018年5月11日(金) ●大阪国際会議場
〈障害児委員会企画シンポジウム〉
障害のある子どもたちへの民間からの支援 ~NPO活動・地域歯科保健医療の実践例に学ぶ~
【報告】NPOならチャレンジド 赤川義之
     「特別支援学校生徒たちと共に未来を切り拓く!」

1.はじめに
 当法人は、奈良県立特別支援学校10校と連携し、生徒たちの社会参加と就労支援に取り組んでいます。私たちの役割は、学校(生徒)と行政、企業、地域社会をつなぐ橋渡し役です。生徒たちの活躍できる機会や職場実習先を開拓し、学校へ提案しコーディネートしています。事業収入はなく、会費、助成金が活動資金であり、職員もいなく100%ボランティア活動です。

2.NPOを立ち上げた動機
 30年前、私の経営するビルメンテナンス会社が奈良県総合リハビリテーションセンター清掃業務を受託し、知的障害のある人を初めて雇用しました。10年間、1日も休まず一生懸命に働く知的障害のある清掃スタッフに強く心をひかれ、働く意味を教えられました。そして、患者さんが知的障害のある清掃スタッフと接する中でやさしくなっていく姿を見て、知的障害のある人が働くことは社会に大きな価値をもたらすんだと思いました。
 私の会社だけではなく、行政、企業、地域社会での就労を拡げるために、会社の名刺をもって各方面へ働きかけましたが、上手くいきません。「障害者問題をタテにして、何か企んでいる」との声を聞きました。そこで、保護者、企業関係者、友人とNPO法人を立ち上げたのです。

3.気づき、共感から明日の扉を開く
 奈良県主催の音楽祭、講演会、市町村主催の人権集会、近鉄、南都銀行等の企業イベント等での生徒の受付係は、今では当たり前になってきました。また、病院、高齢者施設、企業等の職場実習先は拡がり、確実に就労へとつながっています。奈良県立医科大学附属病院では看護補助業務等に30人が就労しています。
地域社会の方々は、生徒が受付係で参加するようになり「この場が和み、やさしい雰囲気になりました」。企業の方々も「挨拶をきっちりし、ルールを忠実に守る生徒たちは職場の見本となり、仕事の基本を思いだしました」。
患者さんと生徒の交流をめざした県立医大病院アート展(2016年から開催)では、患者さんは生徒たちの作品を何度も見に来られます。「明日の手術に勇気をいただきました」「生きる希望がわいてきました」とご好評をいただき、生徒たちも自分の作品が人の役にたっている実感をもち、好きで絵を描くことから患者さんに喜んでいただける作品制作へと意欲を燃やしています。「“ありがとう”と言ってくれたのが一番うれしい!」と笑顔で話す生徒たち。医療現場でアートを通じた出会い、ふれあい、共感から双方が豊かになっています。
障害のある人は、私たち社会が忘れてきたものを気づかせてくれ、共に豊かな未来を切り拓くパートナーです。

4.歯科医、歯科衛生士のみなさまと共に
 この度、私は特別支援学校、保護者、歯科医のみなさまに実情を伺いました。困難な中で、歯科医のみなさまが献身的に障害のある子どもたちを治療されていることの一片を知りました。歯科医、歯科衛生士のみなさまに頭がさがります。
 歯はすべての子どもに関わることです。しかし、現状は保護者や歯科医の個別の課題にとどまっており、学校や行政全体の課題になっていないように思われます。保護者は治療に苦労し、悩まれています。歯科医がホームドクターのようになればと願っています。
 平成20年度厚生労働省障害保健福祉推進事業のパンフ「発達障害のある人をよろしくおねがいします」を友人から紹介されました。(同名でネットに掲載)
 このパンフに刺激を受け、患者サイドからの治療へのアプローチが大切だと思い、奈良県内の特別支援学校へ「自己紹介シート」作成を提案しています。学校が軸になり保護者と一緒に子どものできること、苦手なこと(時間の認識、飲める薬、パニックになるケース等)を1枚のシートに作成し、治療の際、そのシートを医療機関へ提出すれば診療の一助になると思います。
 私たちは歯科医、歯科衛生士のみなさまに学び、つながり、是非とも障害のある子どもたちが安心して歯科治療ができることを願っています。

NPO法人ならチャレンジド