活動日記  

県・県教育委員会・ならチャレンジドの恊働事業「地域社会で生きる!」特別支援生徒の社会参加および就労支援

活動日誌 2019年 6月

2019年6月1日

ならチャレンジド総会 記念講演

銀行、病院からのレポート

~職場実習から就労へ!~ ●2019年6月1日 ●奈良商工会議所

【講師】西上浩史 なんとチャレンジ株式会社 代表取締役

1.なんとチャレンジド株式会社の設立
  (1)平成30年8月、南都銀行100%出資子会社として設立。
     障がい者の雇用促進を目的とした新会社。奈良市南京終町、資本金2000万円。
  (2)平成31年2月、特例子会社として認定。
  (3)業務内容:手形・小切手帳発行、名刺作成、用度品管理発送、ゴム印作成、郵送、データ入力等
     社員数:14名(うち障がいのある者8名)
2.職場実習の取り組み
  (1)平成22年、南都ビジネスサービス(株)にて県立高等養護学校生徒2名を受け入れる。
  (2)以降、毎年1~2名の体験実習を継続して実施。
  (3)平成27年から年2回の体験実習を続け、この度、採用にむけた実習がスムーズにできました。

3.採用にあたり
  (1)学校、支援機関との綿密な連携、情報交換を経て実習に入る。
  (2)3回の職場実習を経てから採用。それぞれの段階に応じて、目標、課題を設定。
  (3)採用にあたり重要な3点は次のとおりです。
      ①業務遂行能力 ②素直さ、協調性 ③当社で働きたい意思(意欲)
     *やりがいを持って永く働いてもらえることが大切です。
      (本人および企業にとって“良かった”と思えることが大切)
  
4.仕事を進めるために
   当社の3つのキーワード:①挑戦 ②協調 ③信頼
  (1)業務マニュアルの作成
      ・簡単、明瞭に(図、フローチャートを多用)
  (2)朝礼、ミーティング、定例勉強会
      ・1分間スピーチを定例化
  (3)“基本”を大切に
      ・「繰り返し」「分かりやすく」

5.チャレンジド社員を採用して
  (1)チャレンジド社員の成長
     ・対人関係の自信 ・自らの意見を述べられる ・働いている喜びを実感
  (2)職場の活性化
     ・マンネリ化した職場への刺激
     ・“当たり前”を見直すきっかけ
  (3)南都銀行役員、管理職となんとチャレンジドが一体となり、障がい者雇用をすすめる態勢になってきました。

6.今後の展開、課題
  チャレンジドファーストのために
  (1)業務の切り出し
      銀行本体との連携 
      障がい者採用はゴールではなく、スタート
      社外業務の受託を展望
  (2)社員のスキルアップ
  (3)人事考課制度、研修体制の整備

今後にむけて
 当社はスタートしたばかりです。
 障害者雇用率達成は社会的責任ではありますが、それよりもまず、チャレンジド社員が一生懸命に働ける環境を整備し、成長する喜び、働いて給料をもらっている喜び、人に役立っていることを実感できる企業でありたいと願っています。 
 南都銀行役員、管理職と私たちなんとチャレンジドが一体となり、地域社会へ貢献できる企業をめざします。




【講師】岡山弘美 奈良県立医科大学障障害者雇用推進マネージャー

1.奈良県立医科大学の障害者雇用推進係
   ・平成26年4月、初めて知的障害者5人を採用(職場実習後)
   ・平成27年4月、障害者雇用推進係を設置
     以降、障害者法定雇用率を達成。平成30年6月は2.77%
     *現在、38人が病院内病棟、臨床検査部等で活躍

2.当初の壁:障害者へのネガティブな意識
   ・任せる仕事の仕分けや雇用後の指導に手間がかかる(事務系)
 ・重い病気の患者さんへの対応ができるのか
   ・緊急事態が発生した時は大丈夫か
  *平成26年、法定雇用率達成のため、20人を採用
   これを機に、病院看護部へ働きかける

3.雇用の拡大と定着
  (1)看護部の協力で職場の拡大
      タオル折り、病棟環境整備、車いす、点滴支柱清掃、シュレッダ等
  (2)看護部から中央検査部へ拡大
  (3)定着が重要と認識
      ①適性を見極める:実習で意欲、適応力を見極める
      ②適材適所:採用後も複数業務を体験し、適正な業務へ就く
      ③フォロー体制の整備:現場責任者、支援員、マネージャー、支援機関の連携

4.信頼し、自立にむけて
 (1)係員(障害のある職員)へ養護学校生徒の実習を任せる
     ・係員が成長し、自主性をもつ
 (2)係員が携帯電話を持つ
     ・係員から報告、連絡、相談がくるようになる
     *自ら考え自ら行動する自主性の芽生え
 (3)信頼できるからこそ支援員は2人で十分

5.頼りにされる係員
 (1)看護部長
    「病棟ではなくてはならない存在であり、とても助かっています」
    「私たちが学ぶことがたくさんあります。私たちの指示が曖昧で具体的ではなかったことに気づきました」
 (2)看護師、看護助手のみなさん
    「任せらます。すごく助かっています。頼りにしているので、休まれると困ります」
 (3)突然の患者さんの訪問にドキッ!
    ゴールデンウィーク中、患者さんが来られました。
    「実は・・・朝あいさつしてくれている皆さんへお礼を言いたくて・・・。
    医大病院を紹介されたんですが、玄関に入ることが怖くて、引き返そうかと、そんな気持ちでいたとき・・・元気な声、満面の笑みで挨拶をしてくださっている皆さんの姿を見て、私も頑張ろう!!と思いました。
     今、治療中です。辛いですが、皆さんから頂いたパワーで私も病気と向き合いながら頑張ります。ありがとうございます」

6.係員のみなさん
   ・患者さんに「ありがとう」と言われることがうれしいです。
   ・奈良医大で一生、働きたいです。
   ・職場の皆さんが優しくしてくれるので、仕事が楽しいです。

係員のみなさんに気づかされて
 当初から1年半は、全てが上手くいかず、係員との意思疎通ができなくて、支援者失格、辞めようかと思いました。しかし、心と心で向き合おうと決めました。
 「障害者である前にひとりの人間として尊重する」「素直、正直に関わる」この気持ちを持つようになり、係員のみなさんが私を支えてくれるようになりました。
支援者が変われば、障害者雇用は進みます。
「任せる」「認める」「感謝する」これがすべての基本です。
 係員の皆さんは、奈良医大にとって力強い戦力です。

 今回、長年にわたり職場実習でお世話になった2つの事業所から報告を受けました。
現場で障害のある人たちと正面から向き合い、信頼し、その人たちの活躍を願っている姿勢に共感します。
 なんとチャレンジドの西上浩史代表取締役、奈良医大の岡山弘美マネージャー、ありがとうございました。

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