職場実習

県・県教育委員会・ならチャレンジドの恊働事業「地域社会で生きる!」特別支援生徒の社会参加および就労支援

2011年 職場実習

2011年(平成23年)8月22日〜24日【県立奈良東養護学校高等養護部2年】

三井住友銀行(SMBCグリーンサービス)職場実習
●実習内容:手形・小切手帳発行、送付状作成、ユニセフ外貨整理等


山岡昇平さん(右から2人目) 指導係・長谷川昇さん(右端)

山岡昇平さん礼状

・親切にていねいに教えてくれています。
・小切手帳の帯を巻く仕事がおもしろい。
・ここの仕事は字を書くことが多くてたいへんだ。

山岡 昇平さん

山岡くんはすごく素直で正直です。
もう少しだけ、大きい声を出してくれるといいけど・・・。
大阪府立たまがわ高等支援学校卒業です。高校生のとき、ここへ3回職場実習に来ました。今年の6月から実習生の指導係となり、山岡君で3人目です。
自分の言ったことをそのまましてくれるとうれしいです。たとえ、うまくできなくて失敗してもいいです。

長谷川 昇さん(SMBCグリーンサービス株式会社・20歳)

当社は都市銀行で初めて設立した特例子会社(平成2年3月設立)であり、全国で5つの事業所があります。事務系で200名を超える障がいある社員を雇用しており、全国的にも注目されています。
肢体、聴覚、視覚、知的、内部に加えて平成21年からは精神障がいのある方の雇用にも取り組み、現在7名の精神障がいの社員がいて、すべての種類の障がいある社員が一緒に働く職場となりました。 手形・小切手帳の電話受付から印刷作成業務、各種依頼調査・口座照会、書類の電子化・保管等の三井住友銀行の事務センター的機能を果たしており、ここでは西日本の業務を一手に担っています。
社員が安心して働き、一人一人が持てる力を最大限発揮出来る様、環境整備や、業務改善等に努め、全社員が一体的に取り組んでいます。
私たち管理者は銀行出身ですが、今年7月、障がいある社員の中から初めて管理者の課長が誕生しました。新たな歴史のスタートと受け止めています。企業として当たり前の人事評価を出していこうというものです。
私は銀行から当社へ来て9年になります。従来の「時間軸」「生産性」だけではなく、働く楽しさ、充実感、社会的役割を彼らから教えられました。ある意味で切り捨ててきたことに気づき、しかし、根源的に働く喜びはみな同じであり、あまり変わらないことだと改めて思っています。 「ノーマライゼーション」を希望していますが、特例子会社の特徴を活かし、現実的な対応で一緒に共生できる方向を探っています。 働くことに加えて生活面も含む総合的なネットワークづくりが企業・支援者を貫く課題です。 当社はすべてをオープンにして積極的に見学と職場実習を受け入れています。 (昨年度は約600名の見学者、40数人のべ約200日の実習実績) それが当社の社会的役割だと思っています。

田尾 隆文 SMBCグリーンサービス株式会社 常務取締役

「銀行で実習できるなんて思いもよらなかった!」実習見学に行った奈良東養護学校PTA役員さんの感想である。 今回の実習では、小切手発行という銀行業務中枢の仕事を奈良の特別支援学校生徒にぜひとも経験してほしかった。自信や夢は具体的経験の中から育まれると思う。昨年10月、横浜でSMBCグリーンサービス(株)國上晋吾ノーマライゼーション推進部長と出会ってから思いつづけてきたことである。 SMBCグリーンサービスさんをお伺いする度に、新たな発見、出会いがある。山岡君、大きな意味で先輩にあたる指導係・長谷川さんの組み合わせに新たな可能性を教えられる。

NPO法人ならチャレンジド

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【参考資料】

2010年11月15日

三井住友銀行グループ SMBCグリーンサービス株式会社 見学報告

NPO法人 ならチャレンジド 理事長 赤川 義之

●訪問日:2010年11月4日(木) 午前9時30分~11時
●応対者:常務取締役、ノーマライゼーション推進部長、業務部長
●見学者:県立高等養護学校進路教員、赤川義之

社員の方々から明るく、礼儀正しく挨拶を受けたのが心に強く残っています。 これまで多くの特例子会社を見学いたしましたが、SMBCグリーンサービスさんの取り組みには感激しました。親会社・銀行本体“心臓部”の仕事をされている自信と誇りが感じられます。 今回の見学では、障害者就労支援を進めるうえでの「核心」を学び、とても勇気づけられました。

1.仕事は創出するもの

銀行の支店の職員がやっていた様々な仕事を集めて工夫して、ひとつの業務にしている。
そのことを通して、三井住友銀行グループ内の発注者・受注者、お互いがハッピィな関係にある。
(三井住友銀行の一つの事務集中部門の役割を担っている。)
親会社へ提案し、仕事を受注していく熱意を感じる。時代の変化とともに、仕事も変わる。

  • 1 小切手、手形帳等の注文受付・印刷・発行
  • 2 役所等からの調査業務
  • 3 資料、データの電子化および管理 等々

2.誰もが働く“力”をもっている

障害者雇用は、企業の経営力が問われている。
それぞれ社員の方が持っている“力”を如何に引き出すか――企業は当然のこと。
就労支援に関わる側も同じであり、企業への「提案力」が強烈に問われていることを実感させられた。

  • 1 ろうの方・・・・

    機械の故障およびトイレ使用点燈ランプ、手話講座の開設等。
    作業効率のみならず日常的なコミュニケーション=人間関係を構築するかが課題となっている。 *例.議論の途中に関われず、結論だけを聞く“疎外感”。
    印刷・製本、書類整理、パソコン入力、調査業務等に従事。

  • 2 車いすの方・・・

    作業棚の高さおよび棚の電動化、機械の改造、扉を引き戸にする等。
    電話受付、印刷・製本、書類整理、パソコン入力、調査業務等に従事。

  • 3 知的障害の方・・

    設立当初より雇用に取り取り組んでいたが、2年前に神戸支社立上げ時に大幅にその人数を増加させた。(約20名の増加)
    社員の能力に応じて 調査業務(パソコンによる検索)等へ3名従事には驚き。
    書類整理、検算、書類の電子化(スキャン)、CDの管理、発送業務。
    調査結果の切り貼り等に従事。(コンピュータのシステム化が進めば、なくなるかもしれない)

3.就労は企業文化である

業務内容・職場改善・社員教育・賃金体系・福利厚生等すべてにわたって、その企業の価値観=文化があることを教えられた。障害者が働ける企業=誰もが働きやすい環境にある。  その意味において、障害者雇用は、すべての人への“普遍性”がある。

  • 1 それぞれの障害特性をもつ社員を“ひとつの企業”としてまとめる「力」。
      ・賃金体系はひとつ。(ただし、銀行出身の管理職は別。銀行の体系による)
       → *給与は〈本人給+職能給+家族手当等〉。 賞与は1.7カ月程度×年2回。
      ・本人給は年齢とともに上がる。
      ・職能給のスタート額や、昇給額は各人の能力により変わる。
  • 2 職場改善案の募集および表彰制度。
      ・たゆまぬ改革への熱意、社員の「やる気」を引き出す制度に感心する。
  • 3 会社―社員が末永く、良好な関係で続く。      
      ・会社、社員双方とも「働いて初めてわかる」ことがある。 (面接だけではわからない)    → *身体障害の方・・・3カ月トライアル雇用後、原則、期間の定めのない雇用。      *知的障害の方・・・1カ年限定雇用後、原則、期間の定めのない雇用。

SMBCグリーンサービス株式会社  誇りをもって働く!社員さんの姿  
●2010年11月4日


職場づくり

手形帳・小切手帳等の電話受付

手形帳・小切手帳等の製本・発送

手形帳・小切手帳等の印刷

検算等

調査業務(パソコン検索・書類整理)
電子化(スキャン)・ CD管理

資料切り貼り等