活動日誌 2011年2月
2011年(平成23年)2月4日
国連GC-JN関西分科会
積水化学グループ 立積住備工業・森安取締役管理部長が講演
~ 誰もが当たり前に働ける企業 ~
●積水化学工業(株)本社
森安英憲取締役管理部長は、“障害者に学ぶこの社会”と題し、平成20年から開始した知的障害者雇用について、あくまで対等な視点で障害者と接する日常を紹介し、「目の前の人を大切にする、という人として当たり前の実践をしているだけ。それが人権のすべてだと思う。」と話した。
続いて、元国連人権高等弁務官事務所の白石理氏が同社の取り組みを「企業と人権、人を大切にする」国際的視点から解説した。
会場からは熱心な質問がされ、森安、白石両氏は丁寧に答えられた。
GCは地球温暖化や格差など現代の課題を取り組む世界的な枠組み。
会議終了後、共感のメールが多数寄せられた。
●寄せられた共感のメール
「すばらしい内容でした。紹介されたエピソードには思わず涙してしまいました。」
「当初の悩みなどを率直に話していただいたことで、より取り組みへの本気度が伝わってきました。また、コストも考えてそこに合った人を配置する会社の考えも補足いただい
たことで、適材適所の考えでされていることも、理解できました。」
「生の実感に基づくお話、素晴らしいと思います。たくさんの人に聞かせてあげたいと思います。」
「現場で実感すること、まずは実践してみせることの大切さを教えてもらいました。」
●森安英憲さんの感想
特例子会社を持つ、日本有数の大企業の本社の方々が、こんなに熱心に聴いてくれるとは思いもよりませんでした。
後の懇親会でも2時間質問攻めにあいました。質問されたことは、意外なことに、とても基本的なことです。
代表的な質問とお答えを下記します。
【質問】
- どうやって会社として理解を得て進められたのですか。
- 知的障害者を現場に入れて危なくないのですか。
- 作業の標準化はどうされていますか。
- 会社で働ける障害者を雇っているだけだという批判に対してはどう思われますか。
【森安】
- 現地現物!本人に会って!信念を曲げない!
- 危ない職場を私たちが改善できていないということを、障害ある人の働く姿が浮き彫り
にして教えてくれるのです。
- 標準化=文書化と思われている場合が多いですが、文書化は標準化の一部にすぎません。 標準化とは、仕事そのものを、バリアフリーでユニバーサルデザインにしていくこと。誰もが易しくできるように変えていくことです。 できないのは障害のせいではありません。やりにくい作業を私たちが改善せず放置してい ることを、障害ある人の働く姿が教えてくれるのです。 そして何よりも、人の心のバリアフリー、ユニバーサルデザインがあれば、何でもできるのだと思います。
- そのとおりです。
会社はその目的に合った雇用をするのです。お情けで雇うなどはまさに慈善事業であり、
雇われた人も尊厳を損なわれます。お互いにムダです。
「企業で生産活動ができない人は、社会の役に立たない」という考えこそ、偏見そのもので す。施設で活動する人も、生まれながらに寝たきりの人も、等しく大切です。そこに線引きするのは私たちの都合です。 私たちは地球という一つの資源から生まれ、みんなで一つの命を分け合っています。 一方ですぐれた才能を持つ人がいれば、一方で病気や障害を引き受けてくれる人も必要。それが人の社会的役割です。
企業に何の努力もいらないということではありません。人の心、職場のバリアフリー、ユニバーサルデザインへの努力をすること。それは障害者や特定の人のためではありません。
私たちがバリアフリーでユニバーサルデザインになれば、「障害」という言葉自体、消える。私の夢はそんな社会です。