活動日誌 2015年 6月
2015年6月6日
NPO法人ならチャレンジド 記念講演会
●2015年6月6日 ●奈良県社会福祉総合センター
【講師】株式会社三輪そうめん山本 柳谷勝美顧問 井上美菜子さん(県立高等養護学校卒)
斑鳩町立斑鳩幼稚園 小野隆秀園長 宮田啓太郎さん(県立西和養護学校卒)
◎柳谷勝美顧問(株式会社三輪そうめん山本)
創業300年の当社は、「企業は人なり」の理念で伝統産業を発展させたいとの思いから障害者雇用に取り組みました。
井上さんは、指示された基本作業をコツコツ継続する、不平不満を言わない、笑顔で挨拶をきっちりします。純粋な若者の姿から忘れかけていた基本を学びました。当社の社員も基本に忠実になり職場がよくなってきています。今後も障害者雇用を継続していきます。
◎小野隆秀園長(斑鳩町立斑鳩幼稚園)
初めて宮田くんと出会い、汗まみれで子どもと遊ぶ姿を見て、子どもが好きだなぁと思いました。礼儀正しくて、真面目ですね。「お兄ちゃん先生」と呼ばれています。
子どもたちの名前を覚えて、子どもと同じ目線で寄り添う姿は、私たちも宮田くんから学ぶことがたくさんあります。実にイキイキと働いてくれており、毎日、成長しています。当園は「開かれた幼稚園」として、いろいろな方に見ていただき、アドバイスをいただきたいと考えています。
●井上美菜子さん(左) 宮田啓太郎さん(右)
インタビューを担当させて頂きます、西和養護学校で進路を担当している江口あゆみです。よろしくお願いいたします。
前にいる2人、婚約会見みたいでいいですね。緊張してますか?大丈夫です、いつものようにしゃべってくださいね。
まず、今回インタビューさせて頂くことになって、2人の所へ取材に行かせていただきました。
井上さんは、高等養護学校卒業ということで、直接顔も会わせていなかったので、最初会うときは、何を話しようか緊張しました。高等養護学校の進路担当の方と会社へ行かせていただき、お会いした第一印象は、「わ~つ、制服が似合ってる、かわいい初々しい新人さん」という感じでした。今日も制服を着てもらっていますが、やっぱり制服を着てもらうと会社の一員という感じでいいですね。
会社では、仕事場も見せてもらいましたが、ランチメニューの名前を聞いてそのセッティングを覚えられますかと聞くと、「はい、大丈夫です」と自信を持って答えてくれました。頼もしいです。
一方、宮田君は、実習中何度か様子も見に行かせていただいています。子どもたちと接しているとき、「本当にいい顔をするなぁ、学校では、絶対あんな顔をしないのに…」というのが実感です。「これは僕の仕事だから…」と、学校を離れ、すっかり自分の職場、職場の一員という雰囲気を出していましたね。なんだかうれしいような、寂しいような…という感じでした。
では、お二人のこの仕事につくまでの経緯から、聞いてみたいと思います。
1.学校でやってきた実習を教えてください
・2年生の時に、リハビリセンターで看護補助の実習をしました。配膳をしたり、入浴介助の見学をしました。
・池利さんで、そうめんの箱詰めとか、検品をしました。
そうめんを、スパゲティーみたいに広げて、くっついている物やみじかい物を取っていきました。
・3年生になって、今の会社で、3回実習しました。工場と厨房で実習をさせてもらいました。
2.今の仕事をしたいと思ったきっかけは、何ですか
・2回目の実習で、厨房の作業をさせてもらいました。注文に合わせて、食器などをセットしました。その仕事が自分に合っていると思いました。
3.職場で気をつけていることは何ですか
・いそがしいときでも、食器を落としたり割ったりしないように気をつけています。
4.仕事のなかで苦手なこと、大変だなあと思う場面は、ありますか
・ミーティングの時に、あてられたらどうしようか、どきどきします。
・休けい時間に、ほかの人と話をしたいけど、なにをしゃべったらいいかわからないです。
5.働きだして、2ヶ月ですが、うれしいこと、楽しいことは何ですか
・学校を卒業して『校則』がなくなったので、休みの日に、友達といろんなところに出かけられるようになったのが、うれしいです。
6.初めてのお給料は何に使いましたか
・家に生活費を入れたほかは、まだ使っていません。自分の部屋にテレビがほしいので、お 金をためて買いたいです。
7.これからの目標はありますか
・いつか、車の免許を取ったり、一人暮らしをしてみたいと思っています。
8.職場の方に一言
・わからないことをやさしく教えてもらっています。 これからもよろしくお願いします。
9.これから就労をめざす後輩たちに一言
・やめないで、続けられる仕事を見つけてください。
◎宮田啓太郎さん(斑鳩町立斑鳩幼稚園)
1.学校でやってきた実習を教えてください
・2年生で、河合町の広瀬台保育所で子どもと遊んだり寝かしつけたりしました。
ウイル・ジャパンにも行き畑仕事をしました。
・3年生になって、斑鳩幼稚園とあわ保育園で子どもたちと遊んだり、給食の手伝いや、トイレ掃除をし ました。
2.今の仕事をしたいと思ったきっかけは、何ですか
・中学のときの授業で幼稚園に行き、子どもとたちと遊ぶのが楽しかったことと、2年生の保育所での実習で、この仕事をやってみたいと思いました。
3.職場で気をつけていることは何ですか
・子どもたちの名前を覚えることです。後、けがをさせないようにすることです。
4.仕事のなかで苦手なこと、大変だなあと思う場面は、ありますか
・今は子どもたちが、何を言っているかが大体わかるようになってきましたが、小さい子はあわててしゃべると、言葉がうまく発音できなかったり、抜けてしまって、わかりにくい言い方をすることがあるので、わかるのに苦労しました。
5.働きだして、2ヶ月ですが、うれしいこと、楽しいことは何ですか
・幼稚園に通っている子どもたちの兄弟たちとも知り合いになれたことです。
園庭開放で遊びにくる小学生にも「せんせい」と言われることがうれしいです。
6.初めてのお給料は何に使いましたか
・ゲームが壊れていたので、新しい物を買いました。
7.これからの目標はありますか
・バイクの免許を取りたいです。
8.職場の方に一言
・これからもよろしくお願いします。
9.これから就労をめざす後輩たちに一言
・3年生になる前に自分がやりたいことを見つけておいた方がいいよ。
頼もしい一言をいただいたところで、インタビューは終了したいと思います。
今回、二人と打ち合わせをしていて、好きなことを見つけることの大切さとそれがどれほど本人たちの自信になっているかを感じました。最後の質問の、「後輩たちに一言」で、それまで迷って答えていた2人が、「好きなことを…」と即答してくれました。
でも、せっかく好きなことやりたいことが見つかっても、それを受け入れてくださる所がないと、せっかくの彼らのいいところが発揮できないところでした。受け入れてくださる方の思いと生徒の思いがつながって本当に喜んでいます。
では、新しい一歩を踏み出した若者に励ましと期待とここに集まっていただいた方々がすべて2人の支援者であるという気持ちを込めて、大きな拍手をお願いいたします。
ありがとうございました。
◎参加者の感想
・先輩の話を聞いてよかったです。僕も仕事がしたいです。
・自分の好きなことを見つけて、そのことを仕事につなげることができた2人の生の声を聞けて感動しました。
・特性に合わせた支援さえあれば、きちんと仕事ができ社会参加できると確信しました。
・卒業生の方は、社会に出てまだ数か月なのにとてもしっかりっされていて、とてもたくましく思いました。企業の方もハンディのある子供たちを採用されて、逆に勉強になると言っていただき、とてもうれしく思いました。
・自分の子はダメだとあきらめていましたが、好きな仕事ができるかもと希望がもてました。キラキラした2人の姿を見て目がさめる思いでした。
・大きな勇気とエネルギーをいただきました。「あきらめなければ必ずつながる」「前例はつくればいい」目からうろこでした。