活動日記  

県・県教育委員会・ならチャレンジドの恊働事業「地域社会で生きる!」特別支援生徒の社会参加および就労支援

活動日誌 2017年 9月

2017年9月9日

アート・就労・暮らしをつなぐフォーラム(2部)

【パネラー】岸本亜矢子 奈良県立明日香養護学校卒業生 
      古家 仁  奈良県立医科大学附属病院長 
      高田 知彦 奈良中央信用金庫理事長
      仲子 宏  奈良県立高等養護学校長
      吉井克礼 奈良県立高等養護学校卒業生(県立医科大学附属病院)
      瀬野真実 奈良県立大淀養護学校卒業生(県立医科大学附属病院)
     進行:赤川 義之 NPO法人ならチャレンジド理事長
【テーマ】特別支援学校生徒・卒業生と行政機関、学校、事業所、NPOなど地域のつながりから、
     既成概念を超える新しい価値観を創造し、
     障害のある人が個性を生かして当たり前に活躍できる社会の実現をめざします。

岸本亜矢子さん(明日香養護学校卒)

「うーたん」(岸本亜矢子さん)


4人のパネラー

古家 仁さん(奈良医大病院長)


高田知彦さん(奈良中央信用金庫理事長)

仲子宏さん(高等養護学校長)


吉井 克礼さん (高等養護学校卒)

瀬野 真実さん (大淀養護学校卒) 


医大学生

辰巳寿啓・奈良県視覚障害者福祉協会長


◆開催趣旨(進行役:NPO法人ならチャレンジド 赤川義之)
 こんにちは。 
 日本文化の源流の奈良、今、ここ奈良から新たな文化を発信します。
 かって1500年前、仏教伝来は、日本文化へ革新的、根源的な変化をもたらしました。
 私たちの先祖は、その国際文化を受け入れ、従来の文化と融合させ、そこから独自の文化を育んできました。寛容性、多様性、創造性を持ちあわせていたからこそ、普遍的な豊かな文化を築いてきました。
 国民文化祭、障害者芸術文化祭一体開催の意義は、これと同じ意味があると思います。
 私は、特別支援学校生徒たちと出会い、そのやさしさ、純朴さ、人間性に共感してきました。変わるべきは、生徒たちの魅力をキャッチできる感性だと気づきました。社会の方が変わらなければと強く思ってきました。
 今回、「アート・就労・暮らしをつなぐフォーラム」と掲げさせていただきました。
それは、障害のある人の24時間をめぐる暮らし、つまり人が生きることに焦点を当てることです。
 本日のパネラーには、アート展、職場実習、地域の社会参加活動で出会った方々を迎えました。
 明日香養護学校卒業生の岸本亜矢子さんは、6年前、明日香養護学校文化祭「橘祭」のポスターで初めて出会いました。アート展を始めようと強く決意した1人です。
 医大病院は5年前、高等養護学校生徒を看護補助の職場実習で初めて受け入れ、現在28人を雇用してくださっている病院です。
 奈良中央信用金庫は、6年前、高等養護学校生徒の社会参加を真っ先に受け入れ、奈良中央信用金庫本店でのアート展を提案してくださった企業です。
 県内特別支援学校10校を代表して、高等養護学校の仲子校長に登壇していただいています。
 共通することは、小さな出会いをとても大切にして、人の出会いに共感し、できること、つまり可能性を探る姿勢です。
 このフォーラムのテーマは、次のとおりです。
 特別支援学校生徒・卒業生と行政機関、学校、事業所、NPOなど地域のつながりから既成概念を超える新しい価値観を創造し、障害のある人が個性を生かして当たり前に活躍できる社会の実現をめざします。
では、4人の方々から報告を受けていきたいと思います。

◆岸本亜矢子さん(県立明日香養護学校卒業生、)
・2006年10月、県立高取国際高校2年生の秋、交通事故にあい、首から下が不自由になる。
 入院中、友人へ口で絵を描いたのが始まり。
・2007年6月退院、ひきこもって現実逃避の日々が続く。
・2010年4月、県立明日香養護学校へ転入し、訪問教育をうける。「たくましくて、かっこよく  て頼できる先生です。以来、今日まで何かとお世話になっています。今、私の横にいる先生です」。
・2010年10月、母が脳梗塞発症、約6ヵ月の入院、将来に強い不安感を抱く。
・2012年3月、明日香養護学校卒業。5月、別府重度障害者センターへ入所。自立のためのきび  し訓練を受ける。「なかまがいるんだ!と実感」
・2013年8月、たくましくなって退所。奈良へ帰る。
・2014年4月、母が乳がん発見、「自分がしっかりしなければと思い、できることは絵を描くこ  とお金をかせぐことだと強く思いました」。10月、初めてのカレンダー完成。
・2015年9月、2回目のカレンダー完成。
・2016年3月、先のことを考え、ひとり暮らしを始める。10月、3回目のカレンダー完成。
 現在、オリジナルのカレンダー制作、販売など意欲的に活動中。
 「この間、奈良中央信用金庫さんには大変お世話になり、ありがとうございます。できれば、通帳、  キャッシュカードに私の絵を採用していただければと願っています」。
「いちばんしたいことは、自分の絵でお金をかせぐことです。かせいだお金を大切なものに使いた いです」。
「みなさん、来年のカレンダーはライオン丸の物語です。ご購入をお願いします」
 【2018年カレンダー】壁かけタイプ2,000円、卓上タイプ1500円 (送料込み、税込み) 
【連絡先】639-0251香芝市逢坂8丁目234-6 
☎ 090-3719-6492(父親) Fax0745-77-4531 

◆古家 仁さん(県立医科大学附属病院長)
2012年、高等養護学校生徒を看護補助の職場実習で受け入れ、現在、卒業生ら28人が就労。
医大学生も参加し、昨年から「特別支援学校と病院を結ぶ!奈良県立医科大学附属病院アート展」 を開催。
◎障害者雇用に取り組んだきっかけ。
  (法人化に伴い障害者雇用率が未達成となったこと)
◎受け入れ当初の状況
  (学内全体で障害者雇用に対する理解不足 → 障害者が担う業務、就労の場が限定)
◎障害者が担う業務、活躍する職場の拡大
  (各部署のトップの理解 個々の能力を把握し、適材適所への配置)

◎障害者雇用への理解のさらなる促進
  (障害者が担った仕事の評価 関わる人たち(職員、学生、患者等)との交流機会の拡大 → アート展の開催)
「障害のある人たちは病院の各部署で、きっちり働いてくれて大変助かっています。今後、できれば今の倍ほどの人たち(50数人)が働ける病院にしたいと思っています」
「学生は、確かに勉強はできますが、障害のある人たちと接し、一緒に過ごすなかで人間を磨いてほしいと願っています。患者さんに寄り添う医者になれるように深く学んでほしいです」
「地域から信頼され、患者と心が通い合う人間味あふれる病院をめざします」。

◆高田 知彦さん(奈良中央信用金庫理事長)
1992年から25年間、障害者との交流や支援活動を継続。2013年から本店ロビーにて「特別支援学校アート展」開催、西和養護・高等養護学校生徒との清掃活動、経営研究会の受付係等で障害者の社会参加を応援。
地域金融機関としてCSR活動も積極的に推推。
 ◎25年以上続く、障がいのある人たちとの交流・支援~ニッキン賞を受賞

 ◎社会貢献活動、地域貢献活動は役職員全員の総意で

 ◎特別支援学校の皆さんとの交流は平成24年にスタート

 ◎岸本亜矢子さんの活躍が、わたしたち全役職員の願い

 ◎障がい者雇用に向けて社内風土の醸成を
「岸本さんの絵はとてもかわいくて癒されます。毎日、会社と家で眺めています」「実際、岸本さんと出会い、その前向きかつ意欲的な姿にもふれ、ますます応援しようと思いました」「社員へ岸本さんのカレンダーを紹介したところ、毎年、購入者が増え、昨年は100人を越え、大変、うれしく思っています」「来年、奈良中央信用金庫設立70周年を迎えます。岸本さんから提案のあった通帳、キャッシュカードへのイラストの採用は検討します」「特別支援学校の生徒さんと社員との交流の中で、相互理解が深まっているように感じています。」
「障害者雇用は、かろうじて数字的なものはクリアしていますが、これから、更に取り組めるように努力していきたいです。地域に貢献できる企業でありたいと願っています」。

◆仲子 宏さん(県立高等養護学校長)
2012年から「キラリと輝く!特別支援学校アート展」、昨年から「医大アート展」を開催。知的障害の高校生230人が学び、1年生全員が社会参加活動を体験。その後、個別の職場実習を繰り返し、就労へ。行政、企業、NPO等と連携して、「就職率100%」をめざす。
 ◎社会参加活動を通じての地域とのつながり

 ◎アート展へ向けての取り組み

 ◎アート展からのさらなる拡がり

 ◎「就職率100%」をめざした取り組み

◆吉井 克礼さん (高等養護学校卒)
 私は、奈良県立医科大学障害者雇用推進係の吉井です。高等養護学校卒業生です。
 本日は、よろしくお願いします。
 私の業務内容は、デイルーム・ラウンジ清掃です。4人でチームを組んで作業を行っています。1     日19ヶ所を清掃するので、かなり体力がいる仕事ですが、仕事は楽しいです。
 ディルーム・ラウンジ清掃をして、良かったことは、いろんな方と出会えたことです。そして、患   者さんや職員の皆さんに、「ありがとう」とお礼を言われます。
 心がけでいることは、点滴支柱棒をもっておられる患者さん、車いすに乗っておられる患者さんに   は、作業中、移動中には気をつけています。
 これから、他の仕事にもチャレンジしていきたいと思っています。
 本日は、ありがとうございました。

◆瀬野 真実さん (大淀養護学校卒)
 奈良県立医科大学障害者雇用推進係の瀬野真実です。よろしくお願いします。平成28年10月か   ら医大で働いています。
 仕事は、タオル折りで、おしぼり、清拭、三つ折りを折っています。院長室、隣の会議室とパソコ   ンの部屋の掃除が好きです。車いすの掃除も好き! 外来の環境整備の掃除も好き!エコキャップ   回収は一人で気をつけて行っています。
 エコキャップ回収に行くと、職員の皆さんが喜んでくれて、「ありがとう!」と言ってくれるので、   僕は嬉しいです。
 草ひきの作業もしています。軍手をつけて、きれいに草ひきをしています。花に水やりもしていま   す。花を植える作業もしています。シュレッタをしています。ホッチキスに丸つけをしています。  お給料もらったら、いろんな本を買います。
 これからも仕事休まないで、一生がんばります!

本人、病院、企業、学校からアート、職場実習、就労、社会参加活動の出会いの中で共感、大きな自信となり、その後の転機、成長へと至る報告がありました。参加者の医大学生、奈良県視覚障害者福祉協会・辰巳寿啓会長が感想を述べられ、あたたかい雰囲気で共感のフォーラムを閉幕いたしました。
小さな出会いを大切にし、共感から新しい関係、価値観が確実に生まれてきています。

NPO法人ならチャレンジド